このページでは、洪水予測AIの開発事例を紹介します。どのような業界で、どのような目的で導入され、どのような成果を得られたのかをまとめています。
AI開発の依頼・ツール導入を検討している方は、参考にしてください。
豊橋市は自然に恵まれた住環境である一方、洪水や土砂災害のリスクが高い地域です。令和6年6月の豪雨では道路や農地に浸水被害が発生し、防災対応の重要性が再認識されました。
しかし、従来の情報収集手段は職員の現地巡回や市民からの通報などに限られ、リアルタイム性や情報量に課題がある状況でした。
そこで、気象データ・道路・河川カメラやSNS投稿をAIを解析し、災害状況を即時に可視化できるサービス「Spectee Pro」を導入しました。
東日本台風の際には、SNS上に投稿された映像が災害対策本部の大型モニターに即時表示され、現地の状況を的確に把握。避難判断や支援方針の検討に役立ちました。
災害協定を結ぶ長野市の被害状況もツールを通じて早期に把握できたため、迅速な支援を実施。支援物資の輸送や職員派遣もスムーズに行えました。
こちらは、導入ではなく開発した事例です。
岐阜県内の中小河川や水路では、従来の方法では広範囲かつリアルタイムな水位把握が難しく、的確な判断や迅速な避難情報の提供が十分に行えないという課題がありました。
そうした背景を踏まえ、NTT西日本岐阜支店・NTTPC・構造計画研究所の三者が共同で、AIとクラウドを活用した河川監視の実証実験に取り組むことになりました。
実証実験は、2020年から約1年半にわたり全国各地で段階的に実施されました。河川近くの電柱にカメラを設置し、撮影画像からAIによってリアルタイムで水位を解析するシステムを構築。
バーチャル水位計を用いて実際の水位と照合した結果、十分な精度で計測できることが確認できました。
水位が基準値を超えた際は自治体に自動で通知する仕組みも導入され、災害時の即応体制の強化につながりました。
こちらも、導入ではなく開発した事例です。
日本工営(現ID&Eホールディングス)は、深層学習を活用した水位予測モデルを開発しました。
多段階のニューラルネットワーク構造と自己符号化器による事前学習を組み合わせることで、大量の雨量・水位データを効率的に学習できるように設計されています。
実際に、宮崎県の大淀川水系・樋渡水位観測所で検証を実施。過去25年分の雨量・水位データなどを用いて1〜6時間先の水位を予測する6種類のモデルを構築。その結果、従来型モデルより予測誤差を抑え、高い予測精度を示すことができました。
さまざまな課題に柔軟に対応できる洪水予測AI。導入することで、災害時の判断速度アップや被害の最小化などを実現することができます。
ただし、AIの実装にあたっては、まず自社・自組織の現場で抱える具体的な課題を明確にすることが大切です。目的に合ったAIツールを選定することで、より高い効果が期待できるでしょう。
また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。
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