煙検知AI開発事例を紹介

このページでは、煙検知AIの開発事例を紹介します。導入した業界や目的、得られた成果などをまとめているので、AI開発の依頼・ツール導入を検討している方は、参考にしてください。

東京都江戸川区(行政)

Bind Vision事例
引用元:Canon公式サイト(https://corporate.jp.canon/profile/business/mirai-angle/series/challenge/03)

導入前の課題:
火災の早期発見が難しい状況

高齢者の比率が高い江戸川区。木造住宅密集地が多く、災害発生時の対応にスピードと的確さが求められていました。
高所カメラは設置されていたものの、画像データから素早く火災発生場所を特定するのは非常に困難です。通報後にカメラを手動操作して現場を探すため、初動対応が遅れるケースもありました。

さらに従来のシステムは操作が複雑。限られた職員しか扱えないという課題も抱えていました。

導入後の成果:
AIで煙検出と操作性を改善

そこでキヤノンITソリューションズと連携し、「煙検出AI連携サービス」と「カメラ地図連携アプライアンス」を導入しました。

煙検出AIは、高所カメラで撮影した映像からAIが煙を検出し、自動で通知するシステム。そしてカメラ地図連携アプライアンスは、地図上の地点をクリックするだけで該当エリアの映像が表示されるシステムです。
2つのシステムを組み合わせることで、煩雑な操作をしなくても、リアルタイムに火災の兆候を把握できるようになりました。

廃棄物処理業者

mokeScanner事例
引用元:SmokeScanner公式サイト(https://smokescanner.swm-eii.com/)

導入前の課題:
夜間の火災検知が課題に

大阪府にある廃棄物処理業者では、可燃物を保管する貯蔵所で火災リスクを抱えていました。

可燃物はわずかな発熱や発煙が発火につながるおそれがあり、早期発見・即時対応が重要です。
しかし、監視は人の目による作業が中心。夜間は監視員が常時確認できない時間帯があるなど、煙や火災の発見が遅れるリスクが高まっていました。

導入後の成果:
AIが常時監視し早期対応を実現

そこで、可燃物貯蔵所に「SmokeScanner」を導入。AIによる煙検知システムで3台の監視カメラを設置し、24時間体制で映像を監視しています。煙を検知すると自動的に警報ブザーが作動し、異常を知らせる仕組みです。

これにより初動対応がスムーズになりました。機械学習を活用して現場ごとに異なる煙の発生パターンに対応できるようにしたことで、誤検知を抑え、高い検知率を実現しています。

コニカミノルタ(精密機器)

コニカミノルタ事例
引用元:コニカミノルタ公式サイト(https://research.konicaminolta.com/jp/report/2024/technical-papers/development-of-forxai-safety-solution-for-smoke-detection-using-image-recognition-ai/)

導入前の課題:
従来技術ではカバーできない火災検知

コニカミノルタでは、MOBOTIX社製のサーマルカメラを用いた「火災予防ソリューション」を提供してきました。

しかしサーマルカメラでは表面温度の変化にしか反応できないため、燃料の山や資材が積み重なった現場では、内部発火を早期に検知することが困難でした。
接触式センサーによる監視は局所的であり、広範囲な監視が難しいという制約もありました。

導入後の成果:
AIによる画像認識で煙を検知

顧客ニーズに応えるため、コニカミノルタはカメラ映像から煙を検知するアプリケーション「FORXAI Safety Solution for Smoke Detection」を開発。煙を可視化させ、赤外カメラでガスの揺らぎを検出する既存技術を応用し、微細な煙の動きを把握できるようにしました。

誤検出を抑える独自のアルゴリズムも搭載。一定時間同一箇所で検知が継続された場合のみ発報する仕組みにより、現場の業務を妨げる誤報を抑制しています。

【まとめ】AIは現場の“目”として
人の判断と対応を支える存在

煙検知AIは、火災の兆候をいち早く捉え、現場の対応を支援する有効なツールです。活用することで、見落としや対応の遅れを防ぐことができます。

AI導入を検討する際は、業界や現場ごとの課題を理解し、それに適した技術を選ぶのがおすすめ。単なるシステムとしてでなく、現場の力を引き出す仕組みとして考えることが大切です。

また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

製造業

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

医療業界

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

金融業界

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点