赤外線温度AIとは、赤外線サーモグラフィ(熱画像)から得た情報をもとに、異常を検知するシステムのことです。
このページでは、赤外線温度AIの開発事例をご紹介します。導入前の課題や導入後の成果などをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
三井不動産が運営する中之島三井ビルは、竣工から17年の間に複数回リニューアルを行ってきました。
しかしビルの価値を高める方法が分からない、空間利用の状況を把握できない、といった課題から、テナント満足度やビルの価値向上につなげる施策を実行できずにいました。
NVIDIAのGPUプラットフォームと、「OPTiM AI Camera for Office Building」を導入。中之島三井ビルの3層にわたるフロアに42台のカメラを設置し、利用者数や混雑状況をリアルタイムに可視化しました。
食堂リニューアルというタイミングに合わせ、スピーディに実証環境を整備。高精度な人数カウントや利用傾向の可視化により、具体的なプランのもと空間設計を見直すことができました。
江戸川区は、陸域の約7割が満潮時の水面よりも低い「ゼロメートル地帯」。洪水や高潮による被害リスクが高く、長年にわたり治水対策を行ってきました。
しかし従来の防災カメラは画質が低く、昼夜問わず河川の状況が見えにくい状態。水位も測定されておらず、過去のデータを元にした判断や傾向把握ができない状況でした。
江戸川区では防災用カメラを更新し、水位を画像から測定するAI技術を導入。夜間の画質確認を含めた事前調査を入念に実施し、カメラと既存システムを連携させた上で、AIによる水位解析を行いました。
導入した4拠点での測定誤差は、平均約5cmと高精度を実現。日中の映像はよりクリアに、夜間も赤外線照明によって河川の状況をはっきり確認できるようになりました。
水位AIによって撮影地点ごとの水位傾向が把握可能になり、過去のデータも含めて精度の高い判断が可能となりました。
某EV試験塔は建物の高さがあるため、地上から赤外線カメラで外壁調査を行うのは「死角が多い」「劣化の全容を把握できない」状況でした。
足場やゴンドラを設置し近接調査をしようにも、安全性・コスト・作業時間などの負担が大きく実現は困難。より効率的かつ広範囲を網羅できる調査手法の導入が求められていました。
ドローンを活用した空撮型赤外線調査を実施。高層外壁面の赤外線熱画像と可視画像を同時に取得することで、広範囲にわたる外壁の劣化箇所をより正確に把握できるようになりました。
取得した赤外線熱画像の解析には、「スマートタイルセイバー」を活用。熱画像から劣化兆候を自動で識別・分類し、調査の精度とスピードの向上を実現しています。
赤外線温度AIは、医療現場の非接触検温や、河川監視における水位の自動判定、高所構造物の外壁劣化診断など、さまざまな業界で実用化が進んでいます。
共通しているのは、現場ごとの課題を的確に把握し、それに応じたAIシステムを構築している点です。
AI導入を成功させるためには、汎用的な仕組みを導入するのでは不十分。自社・自施設が直面している業務課題や制約を洗い出し、ニーズに適した技術と運用方法を選ぶことが大切です。
また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。
各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。
様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Aivia
(ライカマイクロシステムズ)
Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)