設備点検AI開発事例を紹介

設備点検AIとは、AIを使って工場やインフラなどの設備を点検する技術のことです。
このページでは、設備点検AIの開発事例をご紹介します。導入前の課題と導入後の成果をまとめているので、AI開発の依頼・ツール導入を検討している方は参考にしてください。

九州電力(電気業)

ジャパン・インフラ・ウェイマーク事例
引用元:ジャパン・インフラ・ウェイマーク公式サイト(https://www.jiw.co.jp/newsroom/detail/20221007000000.html)

導入前の課題:
インフラ点検における
作業負担と対応範囲の制限

九州電力は、広範囲かつ高所にも及ぶインフラ設備の点検を限られた人員で実施しており、作業負担や安全性の確保が課題でした。
設備の点検には専門知識を持った技術者が現地に出向かなくてはならず、時間とコストの削減も求められていました。

導入後の成果:
遠隔から複数設備を同時点検

ドローンを活用したインフラ点検事業を提供するジャパン・インフラ・ウェイマークと共同開発を実施。米国Skydio社製のドローンを活用し、国内で初めて複数機体による自動・自律巡回飛行の実証を行いました。

1台のパソコンから3機のドローンを同時に遠隔操作し、それぞれが撮影した映像をリアルタイムに一元管理するシステムを構築。現地に足を運ぶことなく複数の設備点検を同時にできるようになりました。

非GPS環境や磁界の影響を受ける場所などの点検も、自律飛行ドローンを活用することで安全に実施できるようになっています。

電気保安業

ジャパン・インフラ・ウェイマーク事例
引用元:富士電機公式サイト(https://www.fujielectric.co.jp/products/chemical/solution_detail/case02.html)

導入前の課題:
巡視点検における人手作業の負担が課題

電気保安規程により定期的な巡視点検が義務づけられている中、現場ではメータの読み取り作業を人手で行っていました。点検エリアが広範囲の場合は特に、非効率な業務と人員確保が大きな課題となっていました。

導入後の成果:
IoTカメラとAIで巡視点検を無人化・省力化

メータの読み取りにIoTカメラを適用し、取得した画像をAIで解析して自動的に数値をデータ化。保全業務の省人化・リモート化を実現したことで、現場に赴くことなく遠隔でメータの確認ができるようになりました。

読み取ったデータはトレンド表示や帳票の自動作成にも活用できるため、点検作業全体の効率化が図れます。その結果、従来と比較して最大95%の作業工数削減を実現しました。

管工事業

ARAYA事例
引用元:ARAYA公式サイト(https://www.araya.org/projects/ai-application-in-infrastructure-inspection/)

導入前の課題:
検査リソース不足と品質の
ばらつきに直面

プラントの点検業務を担うA社では、カメラで配管パイプの外面を撮影し、その動画や画像をもとに劣化箇所を特定。重点的に検査すべき部位を抽出する、という手順で点検を行っていました。

しかし、この工程には高度な目視判断力と経験が必要。検査員の人手不足や検査品質のばらつきなどが指摘される中、検査の標準化が求められていました。

導入後の成果:
AI活用で検査品質を
熟練者レベルに平準化

画像データから劣化状態を自動で判定するAIを開発・導入。撮影された動画や画像をもとに劣化具合を分類し、重点検査部を自動で抽出することで、検査員の負担を大幅に軽減しました。
加えて、AIによる判定を熟練検査員の基準に合わせて学習させることで、検査品質の平準化も実現しています。

【まとめ】現場ごとの課題に
合わせたAI実装

電力・インフラ・製造などさまざまな分野で省人化・効率化・品質の平準化といった成果を生み出している設備点検AI。
導入することで、不具合やトラブルの予兆を早めに把握し、対応を取ることが可能。高所や危険な場所でも微細な異常を高精度に検出できるため、従業員の安全確保といった点からも注目を集めています。

設備点検AIの導入を成功させるためには、現場ニーズに応じたAIを選ぶことが大切です。自社の業務フローや課題を明確にした上で、適した技術を選びましょう。

また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

製造業

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

医療業界

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

金融業界

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点