作業員安全監視AIは、AIを使って建設現場などで働く作業員の安全を守るシステムです。危険な行動や現場の異常を検知し、事故の防止や労働環境の改善に役立てます。
このページでは、作業員安全監視AIの開発事例をご紹介。導入前の課題や導入後の成果をまとめているので、AI開発の依頼・ツール導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
建設業では、現場ごとに条件が異なるため業務が属人的になりやすく、他業界に比べてITやIoTの導入が遅れています。
三井住友建設でも、同様の課題がありました。そこで、課題を解決し、現場作業の効率化と安全性の向上を実現する方法を検討。作業員や工事車両の位置を把握するシステムや、本社と現場間での情報共有が必要だと考えました。
実証実験を経て、「GeoMation」を正式に導入。スマートフォンのGPS機能を活用し、作業員や工事車両の位置をリアルタイムに把握することで、危険エリアへの進入を即座に検知・警告できるようになりました。
作業員管理と車両管理を同時にできるシステムで、現場改革を推進。今後は、緊急時の対応や作業効率の向上にも役立てたいと考えています。
清水建設の土木現場では、以前からICTを活用した安全対策を行っていましたが、重大事故、特に重機との接触による労働災害のリスクは根強く残っていました。
2018年に全社的なAI活用プロジェクトを発足。安全分野での活用として、ステレオカメラを用いた人物検知のPoCに取り組みました。しかし、トンネルなどの特殊環境では粉塵や照明の影響によりカメラの精度が落ち、現実の現場に対応しきれないという課題が残りました。
PoCの失敗を経て、まずは一般的な現場での実用性を重視し、AI実装のパートナーとしてLightblueを選定。両社の協業により、骨格推定や顔の向き推定を活用して作業員が重機に気づいているかどうかをAIが判断し、アラートを発するシステムが完成しました。
こうして生まれたのが、「カワセミ」というAI安全管理システムです。2023年11月からは社外提供も開始され、「事故を防ぐ」だけでなく、「安全な行動を評価する」仕組みとしても注目されています。
除染や中間貯蔵施設に関連する工事では、放射線被ばくを防ぐため、ヘルメット・防塵マスク・手袋といった装備の着用が厳格に求められます。大成建設では、朝礼時などに監視員が作業員一人ひとりの装備を目視で確認してきました。
しかし、作業員が一時的に現場を離れ再入場するたびに監視員が必要なため、人員を確保するのが困難です。加えて、確認ミスや見落としといった人的ミスのリスクも存在しており、放射線被ばく管理の徹底には限界がある状況でした。
大成建設は、画像認識やAI技術を活用したソリューション開発に強みを持つIIUと共同で、AIを活用した新システム「T-iSafety Protection」を開発。
福島県の中間貯蔵施設関連工事において2020年10月から実証導入を開始し、安全装備確認の自動化による高い効果を確認しました。
AIによるリアルタイム判定と警告通知により、目視確認に頼っていた安全管理業務の課題を解消。現場の被ばくリスクの低減と安全教育の質向上に貢献しています。
作業員がヘルメットや安全ベスト、安全帯などの保護具を着用しているかを自動判定するためのAIを開発する方法が考えられます。この場合には、Microsoft Azureの「Custom Vision」などのクラウドサービスにて、「着用している人」「着用していない人」の画像をクラウドにアップロードすることで学習し、不備を指摘するためのAIを作成できます。プログラムに関する知識がなくてもモデルの作成が可能であり、さらに現場の安全基準に合わせて作成できるものの、未着用の状態を検知した場合に通知を行うなど別システムとの連携が必要な場合には、システム開発会社への相談が必要になると考えられます。
エッジAIプラットフォームを活用することにより、立ち入り禁止エリアへの侵入やフォークリフトと作業員の接近などについてリアルタイムで監視するという方法も考えられます。現場に設置したカメラの側でAI処理を行うことから、通信による遅延が発生せず、危険を察知した場合にはすぐに通知するといったように即時の対応ができるようになります。ただし、物理的なインフラの整備について難易度が高いことから、専門の企業に導入や開発を依頼することが推奨されます。
例えばGoogleにより提供されている「MediaPipe」などのライブラリを活用することによって、作業員にうずくまりや転倒などが発生した際に検知するAIを開発するという方法です。カメラ画像から人間の骨格を読み取ることによって、「長時間動いていない」などの身体状況について判断することが可能となります。こちらの方法の場合には、「関節がどのような状態になった際に転倒が発生したと判断するか」といった判定ロジックを記述する必要があり、プログラミングに関するスキルが求められます。
ここでは、クラウドやオンプレミスなどのタイプ、料金、主な対応業界などの詳細情報を公式HPに掲載している画像解析AI開発ツール・プラットフォームをピックアップして比較します。
| Bind Vision (キヤノンITソリューションズ)
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP (https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand) |
OPTiM AI Camera Enterprise (OPTiM)
引用元:OPTiM AI Cameraシリーズ公式HP (https://www.optim.co.jp/optim-ai-camera/) |
オールインワン AI画像解析パッケージ (大塚商会)
引用元:大塚商会公式HP (https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/ai-iot/ai-camera-analysis/) |
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| タイプ | クラウド | オンプレミス/クラウド (選択可) | オンプレミス |
| 基本料金 |
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| 導入までの期間 | 即時 (契約後すぐに使用可能) | 最短約6週間 | ― (公式HPに記載なし) |
| トライアル | 有り (1か月無償で使用可能) | ― (公式HPに記載なし) | ― (公式HPに記載なし) |
| API | Web APIでプログラムを 問わず、連携可能 ※2 | APIで既存アプリ、 システムとの連携が可能 | ― (公式HPに記載なし) |
| 主な対応業界 | 製造業/防災事業者/自治体 | 小売業/交通機関/医療業界 | 建設業/小売業/製造業 |
作業員安全監視AIを導入することで、事故リスク低減や作業効率の向上などを実現することができます。
ただし、導入で成果を得るためには、業界特有のリスクや運用環境を正しく理解し、それに即したAIを設計・実装することが大切です。まずは自社の課題や現場環境を確認し、自社のニーズに合うツールを選択しましょう。
また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。
各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。
様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Aivia
(ライカマイクロシステムズ)
Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)