製造ライン異常検知AI
開発事例を紹介

製造ライン異常検知AIとは、工場などの製造ラインで異常や不具合を検知するAIシステムのことです。
このページでは、製造ライン異常検知AIの開発事例をご紹介します。導入前の課題や導入後の成果などについてまとめているので、AI開発の依頼・ツール導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

SUBARU(航空宇宙)

SENSPIDER事例
引用元:マクニカ公式サイト(https://www.macnica.co.jp/business/ai_iot/cases/136795/)

導入前の課題:
異常の検知が難しく不良の
見逃しが発生

SUBARUは、航空機の主翼を支える「中央翼」の組立工程において、高い精度が要求される穿孔作業を担っています。構造が複雑なため、従来の方法では異常が発生してもすぐに検知できず、修正作業や製品の廃棄が発生。作業負荷やコストが増大する課題を抱えていました。

導入後の成果:
異常をリアルタイム検知・
自動化が加速

穿孔異常のリアルタイム検知を実現するため、マクニカが提供するセンシングデバイス「SENSPIDER」を導入。既存の穿孔機にシステムを後付けする形で、異常検知AIシステムを構築しました。

正常なドリルと欠損したドリルの振動差から、精度の高い判定アルゴリズムを生成。穿孔中の異常をリアルタイムに検出可能になった上、振動センサーによる8系統の高精度データも取得できるようになりました。

沖電気工業(電気機器)

Laboro事例
引用元:Laboro公式サイト(https://laboro.ai/case/oki/)

導入前の課題:
ノズル検査が目視頼みで精度と作業負担が課題

沖電気工業は、防衛産業に携わっている企業です。防衛装備庁との契約に基づき、防衛装備品の製造工程へ先進技術の導入を進めてきました。

今回着目したのは、電子基板へチップを配置する工程です。チップを基板に配置する際に使う吸着ノズルに異常がないかチェックするため、AI検査システムの実証実験を進めることになりました。

導入後の成果:
見逃し率1.9%の高精度を
実現

Laboro.AIと協力し、AIによる画像検査の実証実験を開始。1枚の画像に1本のノズルが写り、OK/NGを判定するシンプルな構成である点に着目し、「画像分類」によるAI検査システムを開発しました。

ノズル先端部の自動切り出しなどの前処理と、AI出力に基づく後処理ロジックを組み合わせ、26回に及ぶAIモデル開発と精度チューニングを実施。見逃し率1.9%、虚報率20.9%という成果を実現し、実証実験を順調にクリアしています。

【まとめ】製造ライン異常検知AIは
現場課題に応じて成果を
発揮するソリューション

航空宇宙・電気機器・インフラなど、異なる業界における異常検知AIの事例をご紹介しました。各事例に共通していたのは、「現場固有の課題に応じてAIの仕組みを柔軟に設計」している点です。

AIを導入する際は技術ありきではなく、業界特性や現場の業務フローに合わせることが大切。どの工程でどのような精度が求められるか、よく確認した上で検討を進めましょう。

また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

製造業

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

医療業界

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

金融業界

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点