AI火災検知開発事例を紹介

目次

画像認識AIを搭載した「火災検知システム」の事例を掲載しています。システム導入前に抱えていた課題、システム導入後の成果をまとめているので、AI搭載型の火災検知システムを開発したいと考えている方は参考にしてみてください。

東京都・江戸川区
(地方自治体)

煙検出AI連携サービス
引用元:キヤノンITソリューションズ公式サイト
(https://www.canon-its.co.jp/corporate/newsrelease/2023/pr-20230428smoke-airenkei)

導入前の課題:火災の検知・通報に時間がかかっていた

江戸川区には、火災時に延焼する可能性が高い木造住宅密集地域が複数あります。防災の目的で高所カメラを取り付けていましたが、カメラ映像から火災の発生場所を特定するのは困難でした。

そこで、キヤノンITソリューションズと協力して新しい火災検知システムを開発することに。「煙検出AI連携サービス」と「カメラ地図連携アプライアンス」というソリューションを組み合わせ、素早く初動対応できる仕組みを作ることにしました。

導入後の成果:煙を検出したら即時通知で被害拡大を防止

さまざまな天候・時間帯の煙画像データをCGで作成し、AIの機械学習を実施。高所カメラで撮影された画像を24時間体制で解析し、煙を自動検知して担当者へ即時通知する火災検知システムを開発することに成功しました。

火災が起きている可能性が高い場所の映像をすぐに確認できるようになり、被害拡大防止に大きく貢献しています。

東京都・川越市(地方自治体)

Spark Eye
引用元:イーアイアイ公式サイト
(https://column.eii-net.co.jp/sparkeye-kawagoe/)

導入前の課題:重要文化財を火災から守る対策が不十分

川越市は、250件以上の指定文化財および歴史的建造物を保有しています(2025年3月時点)。これらの文化財を今後も継承していくには、火災対策の取り組みが必要です。

しかし従来の監視体制では、火災が起きてもすぐに気づくことができず、被害拡大を防ぐための対策が求められていました。

導入後の成果:AIによる即時通報で安全性向上

リチウムイオン電池の破砕等に伴う火災を検知するシステムに、24時間体制で監視できるリアルタイムモニタリング機能を追加。「火」自体を画像認識、分析することでスピーディーに火事を検知できるシステムを構築しました。

実証実験では、10cm以上の火を素早く検知し、警備会社や消防(119)、文化財管理者へ通報。文化財管理者には写真付きの発災メールと消火メールを送付し、火災状況の即時確認を行うことができました。

茨城県・大洗町(消防本部)

火の見櫓AI
引用元:PR TIMES|アースアイズ
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000043451.html)

導入前の課題:夜間の監視が不十分で火災被害が拡大

大洗町の消防本部では、夜間に無人の建物で出火した際にすぐ検知できず、被害が拡大している課題がありました。アースアイズの画像解析AIを導入するにいたった理由は、24時間体制で広域を監視できる体制が必要だと判断したためです。

導入後の成果:AIカメラが24時間体制の広域監視を実現

アースアイズはこれらの課題を解決するために、800m先まで監視できる火災検知システム「火の見櫓AI®」を開発しました。AIカメラが24時間体制で広域を監視し、煙や15cmの火柱を検知して消防本部指令室のパトランプが点滅する仕組みを構築。

モニター画面で確認で火災の発生場所を特定し、スムーズに出動できるようになりました。

画像認識AIを搭載した火災検知システムを開発する方法

クラウドAIサービス(AutoML)を利用する

クラウドAIサービスを利用する方法が考えられます。例えばAmazon Web Services(AWS)の「Amazon Rekognition Custom Labels」やGoogle Cloudの「Vertex AI Vision」などが挙げられますが、これらは「AutoML」と呼ばれており、高度な技術・知識なしで機械学習モデルの構築が可能 となります。

このサービスを利用する場合には、火災や煙の画像をアップロードし、ラベル付け(アノテーション)を行います。このことによりAIが自動的に特徴を学習し、高精度なモデルの作成が可能となります。サーバーの構築は不要ですが、常時インターネットへの接続が必要です。

エッジAIコンピュータを利用する

NVIDIAの「Jetson」シリーズなどのエッジAIコンピュータを利用する方法です。このエッジAIコンピュータに学習済みの検知モデルを実装します。この方法では、画像をクラウドに送らずにカメラのそばで画像処理を行うことになるため、通信によるタイムラグをほぼなくし、リアルタイムでの検知が可能となります。例えばインターネット環境がない・不安定な環境やセキュリティが厳しいため映像を外に出せない工場などでも使用できるシステムの構築が可能となります。

オープンソースライブラリを用いた開発

プログラミング言語であるPythonに、Googleが開発したオープンソースの機械学習ライブラリ「TensorFlow」や「PyTorch」、画像処理ライブラリ「OpenCV」を組み合わせて独自に開発する方法も考えられます。この方法の場合にはOpenCVで映像フレームの取り込みを行い、独自に設計・学習させたCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルで判定を行う、という流れになります。既存の防犯カメラシステムに組み込むなど、柔軟なシステムの構築が可能な方法です。

画像解析AI開発ツール・プラットフォームの料金・機能比較

ここでは、クラウドやオンプレミスなどのタイプ、料金、主な対応業界などの詳細情報を公式HPに掲載している画像解析AI開発ツール・プラットフォームをピックアップして比較します。

▼左右にスクロールできます▼
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Bind Vision公式サイト
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
(https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand)
OPTiM AI Camera
Enterprise

(OPTiM)OPTiM AI Cameraシリーズ公式サイト
引用元:OPTiM AI Cameraシリーズ公式HP
(https://www.optim.co.jp/optim-ai-camera/)
オールインワン
AI画像解析パッケージ

(大塚商会)大塚商会公式サイト
引用元:大塚商会公式HP
(https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/ai-iot/ai-camera-analysis/)
タイプクラウドオンプレミス/クラウド
(選択可)
オンプレミス
基本料金
  • 初期費用:なし
  • 基本プラン:3万円/月
  • 初期費用:66万円※1
  • 導入費:440万円
導入までの期間即時
(契約後すぐに使用可能)
最短約6週間
(公式HPに記載なし)
トライアル有り
(1か月無償で使用可能)

(公式HPに記載なし)

(公式HPに記載なし)
APIWeb APIでプログラムを
問わず、連携可能
 ※2
APIで既存アプリ、
システムとの連携が可能

(公式HPに記載なし)
主な対応業界製造業/防災事業者/自治体小売業/交通機関/医療業界建設業/小売業/製造業
【選定条件】
「画像解析AI開発ツール」とGoogle検索して上位表示されるAI開発ツール30社のうち、クラウドorオンプレミスでのプラットフォームを提供している製品をピックアップし、
公式HPに導入費用などの価格掲載があるソフトの情報を掲載しています。
※1.OPTim Edge Entryの場合、カメラ5台まで処理可能。
※2.煙検出AIの場合、1セット=45,000回/月の実行回数。
(2025年3月5日調査時点)

【まとめ】画像解析AIは火災被害の拡大を防ぐカギ

火災は火が大きくなるほど消火が難しくなり、被害が大きくなるため、迅速に初動対応を行うことが大切です。画像解析AI搭載型の火災検知システムを開発すれば、夜間や人がいない時間帯でも煙や火を検知し、迅速に対応することが可能です。

住民を火災から守る消防団・地域自治体や、火気・燃えやすい物を扱う施設を運営している方々は、AI搭載型の火災検知システム開発を検討してみてはいかがでしょうか。

また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点