農作物の生産において重要な収穫適期を判定するAIの開発事例や開発方法について解説しています。
りんごの収穫を行う時期の見極めは、熟練の収納者によりりんごを目視することによって行われていましたが、その結果にはばらつきが生じやすい問題がありました。さらに経験と勘に頼るところが大きく、初心者には困難な作業でした。
秋田県立大学と秋田県産業技術センター、秋田県果樹試験場、株式会社オクトライズにより、「りんご収穫適期判定アプリ」が開発されています。このアプリで成熟度を数値化できるシステムであり、活用することによって収穫に適した時期を簡単に判定できるようになるため、生産者の省力化につながります。
収穫時期の判定については、アプリを起動した端末をりんごにかざすのみなので非常に簡単に利用できます。収穫時期を容易に判定できるようになるため、季節アルバイトやこの先新規で就農を目指す人にとっての障壁を下げることにもつながると考えられています。
青果用のスイートコーンを栽培する上では、多くの場合ひとつひとつ目視を行って適期を迎えたものを選んで手で収穫しています。しかし北海道の加工用スイートコーンの場合、大規模栽培であることから機械で一気に収穫を行っていますが、収穫に適した時期かどうかの判断が難しい状態でした。圃場船体の収穫適期に合わせられず、歩留まりが下がってしまうケースもあったことに加え、サンプリング作業にも手間がかかっている状況でした。
ドローンで撮影した空撮画像をAIに読み込ませて、スイートコーンの収穫適期を予測する技術が開発されています。具体的には、空撮画像から物体検出AIにより圃場全域の生育状況を評価し、さらにメッシュ農業気象データを連携させることによって収穫時期の推定を行えるようにしています。実証に協力した農業生産者からも、「経験による収穫適期とAI予測に大きなズレはない」という評価が行われています。
農産物の収穫にあたり、品種によっては収穫適期を図る指標として、「目標とする積算温度」が公開されているものもありますが、圃場の条件(日の当たり方や土壌条件)によって生育にばらつきが生じるために、一様に適用できない場合があることが課題となっていました。
グリーン株式会社が提供するアプリ「e-kakashi LITE」は、過去の作付け記録と環境情報を紐付けた分析が可能です。自分の圃場の収穫時期について推定を行えるAIを搭載しているため、刈り取りに合ったタイミングの予測を行い、収穫作業の効率化と品質向上を目指せるメリットがあります。
また、過去の出穂日が不明だった場合でも、おおよその栽培期間を月単位で入力することによってAIが生育ステージを自動判定でき、目標積算温度の計算が可能です。さらに積算の開始日と終了日は手入力ができる「こだわり設定」にも対応しています。
カメラで撮影したRGB画像を利用する方法は一般的に用いられています。開発する際には、未熟・適期・過熟のそれぞれの段階にある作物の画像を大量に収集し、「色づき(色相変化)」や「大きさ」、「形状」の変化をAIに学習させます。その上で、例えば果実の色が緑から赤に変わる推移を数値化し、「赤色の領域が80%を超えたら収穫適期」と判定させることが可能となります。
環境データと積算温度を用いることで、「いつ収穫時期が来るか」を予測する方法です。この方法では、IoTセンサーの使用により得られた環境データ(圃場の温度や湿度、日照量など)と、これまでの定植日と収穫日についてデータベース化します。植物の生育は有効積算温度に強く関連している点を活用しており、時系列予測モデルを用いることで目標とする積算温度に達する日の算出を行えます。
エッジAIカメラによって野菜などの成長を観察し、さらに各種センサーからのデータを組み合わせて収穫日の予測を行うAIモデルも開発されています。エッジAIカメラで撮影した生育状況のデータと、センサーによって収集した日射量や気温などのデータを組み合わせ、成長の予測モデルを作成します。この技術を活用し、遠隔で農作物の生育状況や収穫時期の把握が可能になることが期待されています。
農産物を生産する上では、収穫日を見極めることは非常に重要ですが、AIの活用によってこれまで経験や勘に頼ってきた収穫適期の判定を簡単に行えるようになります。長年経験してきた農業従事者以外も判断できるようになるほか、作業に必要な人員を収穫適期に合わせて集めることも可能になり、より良い商品を効率的に出荷できるようになります。
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