こちらの記事では、水質汚染検知AIの開発事例や開発方法について解説しています。
水質汚濁防止法によって下水処理場では放流水の排水基準が定められており、化学的酸素要求量(COD)が管理対象となっています。さらに、全窒素含有量(TN)、全りん含有量(TP)が規制対象となっている下水処理場もあります(瀬戸内海など特定地域内)。以上から自動測定装置を用いることで水質の監視が行われていますが、流入する汚水や下水処理状況によっては水質が悪化するケースもあり、水質を正常な状態まで戻すには一定時間に加え、維持管理者の経験・ノウハウが求められます。
日新電機株式会社では、AIを活用して下水処理場の放流水質を予測する技術を開発しています。この技術は、下水処理場内にある監視制御装置に保存された過去の計測データをもとにして、AIにより2時間後のCOD、TN、TPの濃度を予測することができます。そのため、2時間前に水質悪化の予想が可能となり、回避対策に必要となる時間の確保ができます。また放流水質の変化を事前に察知し、維持管理者は異常が発生する前の対応が可能となりますので、水質の悪化を未然に防ぐとともに労力の軽減にも繋げられます。
水処理施設や研究機関、地方自治体にとって水質汚染の早期発見は非常に重要です。これまで用いられてきた方法は、サンプリングや化学分析、研究所での検査が必要となることから、時間やコスト、人材が必要であるという課題がありました。
株式会社BAPでは、環境変化に敏感なゼブラフィッシュの行動を用いたAI水質汚染検知システムを開発しています。こちらのシステムは、ゼブラフィッシュの行動解析にAIを組み合わせたモニタリングシステムです。
4台のカメラを用いてリアルタイムの行動を常時記録し、通常時の動きパターンを学習して標準モデルの構築を行います。さらに、隠れマルコフモデル(HMM)を用いて異常行動を検出する、というものになっています。
こちらのシステムは化学試薬が不要であり、非侵襲での水質監視を行える点に加え、リアルタイムで監視を行えるため、異常が発生した際に即時検知を行えるといったメリットがあります。
河川などに監視カメラを設置し、その映像を用いて水質汚染の検知を行う方法があります。この方法では、正常な水面の画像と、ごみや油が浮いている、いわゆる異常な画像を収集した上で、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いてAIモデルを構築します。この仕組みにより、目視による巡回に頼ることなく突発的な汚染などをすぐに検知・通知するシステムを構築できます。
近年、マクロプラスチックによる海洋汚染の拡大が問題となっています。この点から、AIによる画像認識技術を活用し、海水や前処理を施した堆積物からマイクロプラスチックを高速・自動的に計測するシステムも開発されています。
従来は顕微鏡を除いて一粒ずつ手作業で拾い出して分析するのが一般的だったものの、膨大な時間がかかるなどの問題がありました。しかし粒子の色やテクスチャなどをAI(物体検出モデル)に学習させることによって高速・自動的な計測が可能となるとともに、検査のばらつきを防ぐというメリットも得られます。
水槽に入れたメダカなどの魚や貝などの水生生物の動きをカメラで追い、その行動パターンをもとにして水質の異常を検知する手法です。例えばメダカの場合には、危険が迫ると群れが固まることによって大きく見せるという防御本能を応用します。通常時の遊泳軌跡をAIに学習させ、その動きからの乖離をリアルタイムでスコアリングすることによって、水質の監視を行えます。
もし水質汚染が進んでしまうと、私たちの生活に影響を与えるだけではなく、海や河川の生き物を危険に晒すことになります。そのため、水質汚染を検知して早急に対応することは非常に大切であるといえます。こちらの記事でご紹介したように、水質汚染検知の分野にAIを活用することにより、効率よく検知を行い迅速な対応を可能にします。
様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Aivia
(ライカマイクロシステムズ)
Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)