河川監視AIの開発事例を紹介

こちらの記事では、AIを使用した河川の監視を行うシステムについて解説しています。

クラウド型自動監視システム

引用元:岩崎電気株式会社(https://www.iwasaki.co.jp/NEWS/release/2025/roadmonitor.html)

開発前の課題:効率的な監視システムが求められている

近年、地震や台風、大雨などの自然災害が頻繁に発生しており、迅速な情報収集と対応が不可欠になっているといえます。さらに、日本では少子高齢化によって労働力不足が深刻化していることから、効率的な監視システムの導入が求められています。このような背景から、岩崎電気株式会社ではクラウド型自動監視システムのようなシステムの導入が必要であると考えています

開発後の成果:24時間リアルタイムで現地状況の確認が可能

岩崎電気が開発した「クラウド型自動監視システム」は、同社のカメラ付き照明器具「ENEPEACE」と、「Amazon Bedrock(アマゾン ベッドロック)」の生成AI技術を基盤としている点が特徴です。この開発技術により、夜間でも見やすいカメラ付き照明器具からインフラ設備の画像取得を行い、「ENEPEACE」に実装されている生成AIによって状況を自動的に把握することが可能となります。

このシステムを活かすことによって、現地に足を運ばずに道路の冠水のほか天候や道路への積雪、事故、倒れている人などについてリアルタイムで現地状況の確認が可能となり、例えば悪天候の際の外出による事故などを防ぐことにも繋げられます。

AI治水監視システム

引用元:BEMAC(https://www.bemac-jp.com/tokyo-data-lab/news-topics/20250418594/)

開発前の課題:河川・排水路の急激な水位上昇により住民の安全が脅かされていた

気候変動の影響により、記録的な短時間豪雨が各地で発生しています。「AI治水監視システム」を開発したBEMAC本社がある愛媛県今治市でも、河川や排水路において急激な水位上昇が見られ、住民の安全を脅かす事例が見られています。このような状況から、BEMACとグループ会社のFutureRaysは、今治市との協力のもと、AI技術を活用した治水監視システム(AI治水監視システム)を開発しました。

開発後の成果:災害発生時の迅速な初動対応に繋げられる

開発されたAI治水監視システムは、気象庁の降水量実績データ/予報データと治水施設の実績水位データを基に1時間後の水位を予測できます。ディープラーニング系のアルゴリズムを活用することで、予測の高精度化に繋げており、特に降水量データ・水位データの前処理や特徴量エンジニアリングの部分での工夫を行っている点がポイントです。このAI治水監視システムを活用することで災害に対するリードタイム確保の支援が可能となり、迅速・正確な初動対応に繋げられます。

AI技術を活用した河川管理高度化

引用元:鳥取県(https://www.pref.tottori.lg.jp/310869.htm)

開発前の課題:夜間の越水の確認や河口砂州の監視と撤去の判断の省力化など

鳥取県の由良川・北条川流域ではかつて記録的な大雨により甚大な被害が発生しています。この北条川のJRに並行する区間は、河川改修に相当な時間を要することから、洪水を最短で日本海へ流下させて、家屋、田畑の浸水被害を軽減させる北条川放水路が整備されています。

しかし、「河口砂州の監視と撤去の判断をいかに省力化するか」「分水堰倒伏の判断をいかに適正化するか」「夜間は越水をいかに迅速かつ正確に把握し周知するか」といったように各地でさまざまな課題が発生していました。

開発後の成果:AI技術を活用し河川管理の高度化に繋げられる

鳥取県は株式会社建設技術研究所と協力し、北条川において河川監視カメラ・水位計等から得られるデータとAI技術を用いた新技術の開発に取り組んでいます。

河口砂州の監視と撤去の判断については、AIが監視カメラ画像から砂州が撤去すべき高さになったことを検知して知らせるという方法で対応できますし、分水堰倒伏の判断の適正化については、降雨量予測データ等からAIが数時間後の水位を予測し、分水堰を倒伏すべき時刻を予測できます。また、夜間の越水状況の確認についても、AIを活用することによって監視カメラ画像から越水の検知が可能になります。

河川監視AIを開発する方法

画像認識により水位の検知

AIに水位を判断させるには、画面の中で「どこからどこまでが水なのか」を認識させることが必要となります。この時によく使用されるのが、「セマンティックセグメンテーション」と呼ばれる技術です。この技術は、「水は青」「陸は茶色」といったように、画像をピクセル単位で細かく塗り分けをして分類する、という仕組みを利用しています。この機能を持つAIモデルを選択することによって、仮想の水位計に水面がどれだけ被っているのかを計算できるようになります。

時系列予測モデルを使用して危険水位に達する時間の予測

時系列データの予測に有用な長・短期記憶(LSTM)モデルを活用し、カメラの画像から現在の水位を検知するほか、「これから数時間後に氾濫する危険がある」という点を予測できます。

上流の降雨量や過去の水位変動履歴、土壌の水分量などをAIに学習させることにより、「この雨の降り方であればあと◯時間後に危険水位に達する」といった予測を行えます。

エッジAIを活用する

河川カメラを設置している場合、そのカメラでは24時間撮影が行われています。その動画データを遠くのサーバに送り続けると通信費が膨大になり、さらに災害時には回線がパンクしてしまい処理が遅れる可能性も考えられます。このような場合に用いられているのが「エッジAI」と呼ばれる技術です。この技術を活用することにより、カメラ側で映像を解析して即断即決し、たとえば「水位が2mを超えた」といった軽い文字データのみを送るため、通信が安定するほか迅速な警告を行えるようになります

画像解析AI開発ツール・プラットフォームの料金・機能比較

ここでは、クラウドやオンプレミスなどのタイプ、料金、主な対応業界などの詳細情報を公式HPに掲載している画像解析AI開発ツール・プラットフォームをピックアップして比較します。

▼左右にスクロールできます▼
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Bind Vision公式サイト
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
(https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand)
OPTiM AI Camera
Enterprise

(OPTiM)OPTiM AI Cameraシリーズ公式サイト
引用元:OPTiM AI Cameraシリーズ公式HP
(https://www.optim.co.jp/optim-ai-camera/)
オールインワン
AI画像解析パッケージ

(大塚商会)大塚商会公式サイト
引用元:大塚商会公式HP
(https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/ai-iot/ai-camera-analysis/)
タイプクラウドオンプレミス/クラウド
(選択可)
オンプレミス
基本料金
  • 初期費用:なし
  • 基本プラン:3万円/月
  • 初期費用:66万円※1
  • 導入費:440万円
導入までの期間即時
(契約後すぐに使用可能)
最短約6週間
(公式HPに記載なし)
トライアル有り
(1か月無償で使用可能)

(公式HPに記載なし)

(公式HPに記載なし)
APIWeb APIでプログラムを
問わず、連携可能
 ※2
APIで既存アプリ、
システムとの連携が可能

(公式HPに記載なし)
主な対応業界製造業/防災事業者/自治体小売業/交通機関/医療業界建設業/小売業/製造業
【選定条件】
「画像解析AI開発ツール」とGoogle検索して上位表示されるAI開発ツール30社のうち、クラウドorオンプレミスでのプラットフォームを提供している製品をピックアップし、
公式HPに導入費用などの価格掲載があるソフトの情報を掲載しています。
※1.OPTim Edge Entryの場合、カメラ5台まで処理可能。
※2.煙検出AIの場合、1セット=45,000回/月の実行回数。
(2025年3月5日調査時点)

まとめ

近年、地震や台風、大雨など、さまざまな自然災害が発生している昨今、河川の状況を監視することは非常に重要です。しかし監視を人が行うにあたっては、人手不足や災害が発生している際の現地確認には危険が伴うといった問題があります。AIによる河川監視システムを活用することで、このような問題の解決が期待できます。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点