人手不足や店舗・物流の複雑化が進むなか、AIやロボティクスをどう現場に落とし込み、成果につなげるかは多くの企業に共通するテーマです。ここでは、事例を取り上げ、導入前の課題と導入後の成果を整理しました。
現場起点での課題設定、既存運用を活かした導入設計、データ活用の拡張といった観点から、自社導入のヒントを掴めるはずです。AI開発の依頼・ツール導入を検討している方は、参考にしてください。
店舗で撮影した棚画像を見ながら、商品を1つずつ配置して実棚(棚割)を再現しており、100種類の商品棚なら配置作業を100回繰り返す必要がありました。シーズンごとの棚替えのたびに同様の作業が発生し、全国に数万店ある小売店の状況把握だけでも膨大な時間と工数がかさみ、分析や施策立案など付加価値業務に時間を割けないことが課題でした。
NECの「店頭棚割画像解析ソリューション」で棚画像から商品と位置を高精度・高速に自動識別し、主要な棚割ソフトへデータ連携を行いました。選定では識別精度の高さとレスポンスの速さに加え、自社で商品画像を登録できる運用性も決め手となりました。実証では作業時間を約1/10に短縮できることを確認し、既存フローを変えずに情報活用を効率化しました。
その結果、営業担当者が最適な棚割の企画・提案に注力でき、施策の実施状況チェックや機会損失防止にもつなげられる見込みです。将来的には蓄積データをAI分析し、提案高度化も進める方針です。
アパレル製品は形状が柔らかく、商品種類も豊富なため、倉庫内のピッキング作業は従来「自動化が難しい領域」とされてきました。さらに、グローバルで事業を拡大するほど、拠点ごとに異なる運用や人手作業がボトルネックになりやすく、「適切な商品を、適切な時期に、適切な場所へ、適切な量で届ける」という理想の実現には、倉庫の自動化と海外展開を同時に加速させる必要がありました。
ファーストリテイリングは、ダイフクに加えてMUJIN、Exotec Solutionsとサプライチェーン領域の戦略的グローバルパートナーシップを締結し、倉庫自動化とグローバルでの変革を強化。MUJINとはモーションプランニングAIを用いたピッキングロボットを開発し、全世界の倉庫への導入を進める方針を示しました。
さらに、ダイフクとは国内2拠点・海外2拠点(計4拠点)、MUJINとExotec Solutionsとも海外で各1拠点の自動化に着手しており、取り組みの拡大を継続。加えて、最先端技術企業との連携拡大と、改革を推進する人材採用も加速させ、サプライチェーン改革の実行力を高めています。
実店舗はオンラインに比べて売場の状況や顧客行動が可視化しにくく、POSだけでは「棚前で何が起きているか」を把握しづらいことが課題でした。欠品は機会損失や顧客支持の低下につながり、逆に余剰在庫はロスの増加要因になります。
また、売れ行きに応じた値下げや棚割の見直しを行うにも、現場の目視確認や作業負荷が大きく、属人的になりやすい点がネックでした。
Retail AIのAIカメラは、棚の状況や顧客行動を画像解析で数値化し、欠品回避や発注の効率化、売れ筋/回転不良の把握による棚割改善に活用可能です。トライアルではスマートストアに「リテールAIカメラ」を設置し、当初は欠品感知に活用しつつ、必要箇所に絞って導入を進めています。
さらにトライアルGOでは、AIカメラと電子棚札を連動させ、弁当類の売れ行きを踏まえてAIが売れ残りを判断し、20%や半額などの値下げを自動で反映(電子棚札表示とバーコード情報を更新)する自動値下げを実装しました。300坪規模でも、こうした仕組みを活用すれば1,200坪店舗並みの品揃え運営が見込めるとされ、店舗横断のシームレス運営も期待されています。
用途(レジ無人化、棚割監査、入出庫、期限管理など)を明確化し、認識粒度(カテゴリ/ブランド/SKU)と許容誤差を決めます。対象商品数、パッケージ更新頻度、1枚あたり処理時間、カメラ位置・画角、照明条件、混雑時の運用まで含めて要件化し、PoCのKPIも設定します。要件が固まると見積もりと計画が立てやすいです。
実運用に近い画像を大量に集め、角度・距離・手ブレ・遮蔽・反射・逆光・陳列乱れ・複数ロット・季節パッケージ差分まで網羅します。背景や棚の色も変えて撮影し、ラベル基準書を作成。二重チェックとサンプリング監査で品質を担保し、クラス偏りは追加撮影で補正します。外注時は教育とレビュー体制も用意します。
物体検出+分類(必要なら追跡)で学習し、学習/検証/テストを分けてmAP(平均適合率)、誤検知、取り逃し、類似品の混同率を評価します。端末に合わせて軽量化・量子化し、推論ログから誤認識を回収→再アノテーション→再学習する改善ループとモデル版管理を整備。現場変更で精度が落ちたら即検知できる監視も重要です。
ここでは、クラウドやオンプレミスなどのタイプ、料金、主な対応業界などの詳細情報を公式HPに掲載している画像解析AI開発ツール・プラットフォームをピックアップして比較します。
| Bind Vision (キヤノンITソリューションズ)
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP (https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand) |
OPTiM AI Camera Enterprise (OPTiM)
引用元:OPTiM AI Cameraシリーズ公式HP (https://www.optim.co.jp/optim-ai-camera/) |
オールインワン AI画像解析パッケージ (大塚商会)
引用元:大塚商会公式HP (https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/ai-iot/ai-camera-analysis/) |
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| タイプ | クラウド | オンプレミス/クラウド (選択可) | オンプレミス |
| 基本料金 |
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| 導入までの期間 | 即時 (契約後すぐに使用可能) | 最短約6週間 | ― (公式HPに記載なし) |
| トライアル | 有り (1か月無償で使用可能) | ― (公式HPに記載なし) | ― (公式HPに記載なし) |
| API | Web APIでプログラムを 問わず、連携可能 ※2 | APIで既存アプリ、 システムとの連携が可能 | ― (公式HPに記載なし) |
| 主な対応業界 | 製造業/防災事業者/自治体 | 小売業/交通機関/医療業界 | 建設業/小売業/製造業 |
商品認識AIは、要件定義で「認識粒度・精度・処理速度・撮影条件」を固め、実運用に近いデータ収集と高品質なアノテーションで精度を作り込みます。導入後もログ回収→再学習の改善ループを回し、継続的に性能を維持・向上させましょう。
また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。
各製品・サービスをじっくり比較・検討したい方のために、画像解析AIを利用できる開発ツール・ソリューションを一覧掲載しているページもご用意しています。機能や料金の違いを知りたい方は、こちらも併せてご確認ください。
様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。
Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)
Aivia
(ライカマイクロシステムズ)
Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)