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ディープラーニングによる画像解析

目次

ディープラーニング(深層学習)とは、人間の脳の神経回路を模倣した「ニューラルネットワーク」を用いて行う学習方法のこと。人の手を借りず、システム自身が大量のデータを学習し、特徴を見つけ出します。

ここでは、ディープラーニングを活用した画像解析の仕組み、学習方法、活用例をご紹介します。画像解析AIシステムを開発したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

ディープラーニングによる画像解析の仕組み

ディープラーニングを用いたAIアルゴリズムは複数種類あり、アルゴリズムの種類によって画像解析の仕組みが異なります。ディープラーニングのAIアルゴリズムの中で、とくに画像解析の分野でよく利用されているのは「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」です。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とは

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像認識に特化した深層学習モデルで、人間の視覚的なパターン認識を模倣しています。主な構成要素は、「畳み込み層」と「プーリング層」です。

畳み込み層

畳み込み層では、画像からエッジやテクスチャなどの特徴を抽出します。これは、小さなフィルタ(カーネル)を画像全体に適用し、局所的なパターンを検出することで実現する仕組み。このプロセスにより、画像内の重要な特徴が強調され、次の層での解析がスムーズになります。

プーリング層

プーリング層は、畳み込み層で抽出された特徴の情報量を圧縮し、計算効率を向上させる役割です。例えば、最大プーリングでは、特定の領域内で最大値を取るピクセルを選択し、データ量を削減します。これにより、AIモデルは位置の変化に対して正確な予測を行えるようになります。

画像解析にディープラーニングを適用する流れ

ディープラーニングのAIモデルは、大きく分けて5つのステップで実装が進められます。

データ収集 解析対象となる大量の画像データを集めます。このデータは、AIモデルが学習するための基礎となります。
前処理 正確にデータを学習できるように、画像にラベルを付与する、画像サイズを統一するなどの前処理を行います。
特徴抽出 前処理した画像のデータに基づいて、エッジや色、形状などの特徴をAIモデルが自動的に抽出します。
モデルの学習 抽出された特徴を基に、AIモデルは画像のパターンや特徴を学習しながら内部のパラメータを調整します。
評価と
チューニング
学習済AIモデルの性能を評価した後、結果を踏まえてモデルの構造やパラメータを調整し、精度向上を図ります。

ディープラーニングと従来の機械学習の違い

ディープラーニングは機械学習の一種です。ただし機械学習では人がデータの特徴を指示するのに対し、ディープラーニングではコンピューター自身がデータの特徴を自動抽出するため、人の手が必要ありません。

人が指示しないこと、把握できないことまで判断材料として、機械学習より複雑なパターンの認識や予測を行うことが可能です。

ディープラーニングによる画像解析の活用例

顔認証システム 顔認証システムを使用する幅広い分野で活用されています。
具体的にはスマートフォンのロック解除、空港の入国管理、イベント会場での入場管理など。
製造業の品質検査 製品の外観検査で微細な欠陥や不良箇所を自動的に検出する目的で活用されています。
具体的には自動車部品の傷や異物の検出など。
医療画像診断 疾患の早期発見や診断支援を行う目的で活用されています。
具体的にはX線、MRI、CTスキャンなどの医療画像を解析する用途です。
自動運転 車載カメラからの映像をリアルタイムで解析。
道路状況、障害物、標識、歩行者などを検出することで、安全性の高い自動運転を実現しています。
農業分野 作物の成長状態や病害の有無を画像解析により監視。
適切な農薬散布や収穫時期の判断をサポートしています。
セキュリティ監視 監視カメラの映像から不審者の有無や異常行動を検出する目的で活用。
犯罪の予防や迅速な対応に役立っています。
動画解析システム 連続する画像フレームから動作や行動を認識する目的で活用されています。
具体的にはスポーツのプレイ解析や監視カメラの異常検知などの用途です。

ディープラーニングによる画像解析に必要な環境

ハードウェア環境

ディープラーニングでは大量のデータを処理し、高度な計算が必要です。

このため、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を搭載した高性能なワークステーションやサーバーを使用するのが一般的です。GPUは並列処理能力が高く、ディープラーニングのトレーニングプロセスを大幅に高速化します。

ソフトウェア環境

ディープラーニングを実装するには、適切なソフトウェア環境が必要です。一般的に使用されるのは、ディープラーニングのためのオープンソースのソフトウェアライブラリ(TensorFlowやPyTorchなど)です。

これらを操作するためには、Pythonなどのプログラミング言語の知識が必要です。ただし、ディープラーニングを利用したソフトウェアの中には、専門的な知識がなくても直感的に操作できるものが多く存在します。ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作でAIモデルの設計・学習を行うことが可能です。

クラウド環境

近年は、ディープラーニングのAIモデルを構築できるクラウドサービスも多数登場しています。インターネットに接続できる環境であれば、場所を問わずにディープラーニングを実行することができます

高価なハードウェアを購入する必要がないため、初期投資を抑えつつ、高度な画像解析を実現できるでしょう。

【まとめ】
ディープラーニングは効率的かつ正確な画像解析を実現できる

特徴量の抽出や学習工程を自動化することで、従来の機械学習より効率的にAIモデルを構築できるディープラーニング。特に画像解析の分野では、医療診断、製造業の品質検査、自動運転技術など、さまざまな用途で活用されています。

大量のデータを処理するためには、高性能なGPUを備えた高価なハードウェアが必要ですが、近年はクラウド環境で利用できるサービスも増加。導入ハードルが下がっています。ディープラーニングを搭載したトレーニング済の画像解析AIを提供している会社も増えているので、ぜひチェックしてみてください。

また、当メディアではシステム開発の業界・目的別におすすめの画像解析AIを紹介しています。製造業、医業、金融業など、開発システムを活用する業界・目的によって、選ぶべき画像解析AIは変わってくるもの。自社の開発システムに合った画像解析AIを導入したいと考えているSIer・AI事業者の皆様は参考にしてみてください。

業界・目的別
画像解析AIのおすすめ3選

様々な画像解析AIのなかで、DX化実現のため大規模なシステム構築が求められる製造業、高度な解析精度が医療業界、セキュリティが重視される金融業界と3つの業界で目的に合うツールをピックアップしました。

大規模な検査・検知システムを
確立したい

Bind Vision
(キヤノンITソリューションズ)

Bind Visionのキャプチャ
引用元:キヤノンITソリューションズ公式HP
https://www.canon-its.co.jp/solution/industry/cross-industry/image-integration/bindvision/brand
  • 拡張性の高いプラットフォームで、用途・ライン別の分割運用、全体の統合管理が可能。カメラの増設にも柔軟に対応
  • 製造ラインの状況を一画面で俯瞰し、アラート通知で異常を即時検知。Web APIでスムーズなシステム連携を実現
専門的な画像を高い精度で
解析したい

Aivia
(ライカマイクロシステムズ)

Aiviaのキャプチャ
引用元:ライカマイクロシステムズ公式HP
https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/画像解析システム/p/aivia/
  • 生体組織に求められる2D~5Dの可視化と解析を実現。神経細胞や臓器構造の観察にも対応できる
  • 45種類以上の顕微鏡画像ファイルフォーマットに対応。様々な用途の研究用データなども無駄なく活用
セキュリティやリスク管理を
重視したい

Azure AI Vision
(日本マイクロソフト)

Azure AI Visionのキャプチャ
引用元:日本マイクロソフト公式HP
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/ai-services/ai-vision
  • Microsoftの高度なセキュリティ基準に基づいて設計。クラウド経由の取引にも対応が可能
  • 金融・保険の書類処理や自動データ抽出するOCR、オンライン本人確認機能を搭載。口座開設や本人確認業務を効率化
※情報は2025年3月5日調査時点